「私はイヤリングの依頼はしていないわ。ネックレスだけよ。もしかして、ウィリアムからの依頼だったのではないかしら……ウィリアムに確認してもらえる? でも、おかしいわね。あの子にイヤリングを贈るようなお相手がいたかしら?」
王妃様は訝しがっていた。
どういうことなの……?
胸がザワついた。
ウィル様は忙しそうで気が引けたものの、確認しないわけにはいかなかった。
王妃様に言われた通り、ウィル様のところへイヤリングを持っていった。
「あっ、うん。イヤリングは僕が頼んだんだ。きちんと説明しなくてごめんね」
ウィル様は箱からそうっとイヤリングを取り出すと、空中に吊り下げて静止させ、じーっと観察した。
「よく似合いそうだ。ありがとう、リリー」
「はあ……」
ウィル様は誰に似合いそうなのかは言及しなかった。
王妃様にも内緒にしているんだ。私なんかに教えるはずがない。
私の製作したイヤリングが、ウィル様の恋のお相手に贈られるんだ……
私は細工師になったことを初めて悔しく思ってしまった。



