うっわあ……
言葉なんか出てこない。
見惚れることしかできなかった。
「僕には何も言ってくれないの?」
ウィル様はおどけたけれど、『格好いい』とかそんな言葉では言い表わせない。
「何て言っていいのかも分かりません……」
「ね? お兄様もスゴいでしょ?」
テオ様は誇らしげだ。
「まあ、僕はこれでも主役なんで」
さっきから私の胸はドキドキしっぱなしだ。
この気持ちが何なのか、今では知っていた。
ドワーフの村で読んできた絵本や童話には出てこなかった。学問所でも教わらなかった。
けれど、王城に来て書庫から借りてきたたくさんの物語にはそれが書かれていた。
本によってその描写はまちまちだ。
その登場人物の性格や境遇、立場なんかによって、引き起こされる感情や行動は異なる。
それでも核となる部分はどれも、私の胸の奥にあるものと同じだった。
だから、ウィル様に対して私が抱いている気持ちはこれなんだ、とすぐに思い当たった。
それは『恋』と呼ばれるものだった。



