「リリーさん、これは工房長である俺の怠慢だ。嫌な思いさせてすまなかった。てっきり全員知ってるもんだと思い込んで、説明をしてなかった」
「い、いえ、いいんですっ。こんな小娘が細工師だなんて、思わなくて当然だし。あの……工房長さんにそんなふうに頭を下げられると、私は困っちゃいます」
「俺に免じて水に流してくれるかい?」
「もちろん、もちろんです!」
ようやく工房長さんは頭を上げてくれて、『ありがとう!』とニカッと笑った。
それから若手の面々に向き直った。
「細かい装飾が付いた備品の修理依頼がくると、いつも逃げ腰になってるじゃないか。分かってるのか? こんなチャンス、普通はないんだぞ? リリーさんからしっかり学ばせてもらえ」
工房長がそう言って自分の持ち場に向かったあと、若手の職人さんたちは気まずそうに私の元へやってきた。



