人質になります!と意気込んだものの、これって全然人質の扱いじゃないですよね?


 けれど、私たちの日常はそこで唐突にぶった斬られた。

 外から門番の叫ぶ声が聞こえてきた。

「族長! 族長はどこですか? 王城からの使いが書簡を持ってきました!」

 ドワーフ族と王城は定期連絡をおこなっているものの、それ以外の交流は全くといっていいほどない。
 
 一体、何事……?

 工房にいたドワーフ全員に緊張が走った。手は完全に止まっている。

「おう、ここだ!」

 お父さんは入り口から顔だけ出して、門番を呼んだ。

 門番から書簡を受け取ると、すぐに封を開けた。

 目だけが忙しなく左右に動く。口はぎゅっと閉じていた。

「使いの者は、村の入り口で待たせています」

 門番はそう告げたけれど、お父さんは返事すらしなかった。

 みんなして固唾を飲んで、お父さんが読み終えるのを待った。