みんなは離れていく桃子に手を振る。

みんなの言葉が、桃子にちゃんと聞こえたかはわからない。

しかし思いは伝わっただろう。

運転手も泣いてしまっている。

幹部たちの後ろでずっと声を出さないように必死に我慢していた桃子を護衛していた汐田、佐藤、その他桃子をずっと見守ってきた部下達まで、みんなボロボロ泣いている。


みんなが見えなくなってからも、桃子は窓の外をずっと見ていた。


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──私はあの日ヒーローと出会った。