黒ずくめの人たちに連れて行かれた時、檻の中で助けてと泣いて叫んでいる子供達を見て、私は羨ましいと思った。
助けて、ここから出してと、そう思うのは、思えるのは、帰る家があるから。
ここよりももっといい場所、いい環境、いい人たちに囲まれていたということだから。
私はここと同じ、いや、もしかしたら、ここよりも酷い環境にいたから。
ここの人たちは暴力を振るったりはしなかった。
売るために、私たち商品に傷をつけるわけにはいかなかったのだろう。
トイレも水道も、とても綺麗とは言えないが、檻の中に一つずつついていた。
トイレはもちろん個室ではなかった。
座った時に顔が見えるくらいの高さの隠し壁がついているくらいだった。でも特に気にしなかった。
もうどうでもいいから。


