「………あれは、夢…?」



洗面台の鏡とにらめっこしながら独り言ちる。



「………」



そっと唇に手を当てると、昨日の出来事が一気にフラッシュバックしてきて自然と頬が熱くなってきた。



鏡に映る私の顔は見るまでもなく真っ赤っか。



っ…違う、あれは夢なんかじゃない。



雨上がりの公園で、お互い惹かれ合うようにキスをした。



は、はじめて………だったのに。



でも、全然嫌じゃなかった。



むしろ、もっとして欲しかった……なんて。



口が裂けても、芹くんには絶対言えない…というか、言うつもりは毛頭ないけれど。



って、あれ…?もうこんな時間?



久しぶりすぎて付けた腕時計を見たら、そろそろ学校に向かわないといけない時間になっていた。



身支度を整えてから外へ出ると、空気がジメジメしていてまだ地面が濡れている。



……このムシムシする感じ、本当にやだなぁ。



今朝のニュースをちらっと見たけど、予想通り関東も梅雨入りしたらしい。



…うそ、もう髪の毛はねてきた。



あんなに頑張ったのに…。



しばらくはまとまらない髪の毛と戦うことになりそうで、少し気分が沈む。