甘く甘く、ささやいた。

 厳重警備のすきをついて、心にふれに来たようなその声を聞いて、思わずぞくりとふるえると、雷牙は私の頭を抱き寄せる。




「逃がさないぞ、景依。このまま俺におぼれさせてやる…じっくり、な」




 雷牙の声が耳に注ぎこまれると、彼の熱量が私にも伝染したように、体が熱くなる。


 …これはただの、わるい夢。

 Verbrechen(フェアブレッヒェン)のキングに好き勝手体をあやつられてるだけ。

 じゃなきゃ、ここまで男に近づいて鳥肌が立たないわけないもん…。


 はやく、夢から覚めなきゃ。