いくつかの工場を案内したあとにやってきたのは、革工(かくこう)工場。

 ここの問題児と言えば、1にも2にも108番なわけだけど…。




「お、景依(けい)。ひさしぶりだな~。おまえがぜんぜんスケープゴートになんないから、俺も雑居房にもどるのがひさしぶりになったぜ」




 はぁ、さっそく…。

 っていうか、財前先輩が言ってたとおりじゃん!私を利用して罪逃れしようとしてたんだ!


 むかっときたものの、おえらいさんのまえだからにらむだけに留めていると、「あれ、いつもみたいにキャンキャン吠えねぇの?」と笑われた。




「私語はつつしめ、108番。反省が足りないようだな」


「はいはい、だまりますよ」


「ふむ…」




 ひらひらと手をふって口を閉ざした108番を見て、おえらいさんは体のうしろで組んだ手を、ぎゅっ、ぎゅっと握る。

 また体罰する気じゃないよね…?