「休憩時間だからと所内で気を抜いたこと、じゅうぶんに反省しました。…ですが!」




 中央のテーブルを避けてつかつかと奥の会長席に近づき、バンッといきおいよく手を乗せた。

 デスクに身を乗り出すように、財前先輩に詰め寄る。




「あれは不純(ふじゅん)異性(いせい)交遊(こうゆう)なんかじゃありません!」




 この一言が言いたかった!

 そもそも私は男がきらいだし、万が一好きになるとしても、誠実で人にたよらなくて婦女子を守るような男性だし。

 108番みたいな、自分の罪を反省しない詐欺師(さぎし)なんてぜったい好きにならないから!




藤枝(ふじえだ)の男ぎらいは承知している。元よりそんな報告信じていない」


「えっ?」




 財前先輩は目を伏せながら、たんたんと言った。




「おおかた、108番が己の罪を軽くするために共犯関係を作ろうとしたんだろう。きっちり罰を下したが」


「な、なるほど…」