土曜日の看守業務もお昼まで乗り切って、待望の休憩時間に入った。

 休日はVerbrechen(フェアブレッヒェン)も授業が休みで、1日刑務作業をするだけとは言え、監督続きなのもなかなか疲れる。


 先輩からたのまれた所用を済ませたあと、1人で職員専用エリアに向かっていると、まがり角からひとが出てきた。




「「あ」」




 ぱちりと目が合って、2人の声がそろう。

 アシンメトリーの燃えるような赤髪に、オレンジ色のつり目。

 緑色の囚人服を着て、胸に108と書かれたバッジをつけた男は、一度目をそらしてから「よぉ」と手をあげた。




「な…なにをしてるの!」


「まぁ、散歩?」


「いますぐ食堂にもどりなさい!」