軽口の直らない男を無視して、警官にあいさつする。
警官2人は男の手錠を外して帰っていった。
男の身柄を引き受けると、私は刑務所棟のほうへ視線を向けて言う。
「進みなさい」
「歩くも止まるも人の指示ってのはきゅうくつなもんだぜ」
「進みなさい。ちょうばつ房に入りたいですか」
「へぇへぇ」
肩をすくめて、男はやっと歩き出す。
私はアシンメトリーの赤い髪を見上げながら、男を刑務所の一室に案内して、持ち物検査をした。
その後、人定質問に取りかかる。
「呼称番号、名前、生年月日、罪名、刑期を言いなさい」
「コショー番号?」
「先ほどバッジをつけさせたでしょう。そこに書かれている数字です。ここでのあなたの識別名になります」
「あぁ…」
男はちらりと胸につけたバッジを見た。



