兎杏は眉を下げて笑う。

 2学期の終わりに“看守”になるための試験を受けて、1年の3学期から現場に入る特進クラスが例外なだけ。

 私たちは1学期ぶんの経験を持って、2年生になるから。




「それにね、72番は特に止めるのがむずかしい受刑者なんだ。私も最初のころはほんとに苦労して…」


「そうなんだ?びしっと一声で止めちゃったから、景依ちゃんはすごいなって思ってたんだよ」


「あはは、一回上下関係を叩きこむとすなおなの。あとで兎杏にもあつかい方教えてあげる」


「わ、ありがとう。よろしくお願いします、先生」




 そんなはなしをしながら、私は出ていったGebot(ゲボート)生がもどってくるまで、木工工場の監督をしていた。