「口説くのは、…私だけにして」
はずかしくて、顔が熱くなる。
でも、これだけはぜったいにゆずれない。
じと、っと雷牙を見上げれば、その顔は甘くとろけた。
「とびっきりの殺し文句だな。わかったよ、もうこの手は使わない。俺が口説くのは、景依だけだ」
ちゅ、と頬にキスされて、ちいさくうなずく。
私は雷牙の背中に腕を回して、目をつむった。
「雷牙、好き。…また会いに来るから」
「…ずるいくらいかわいいな」
笑いまじりの声を聞いて、きゅんとしつつ笑みが浮かぶ。
雷牙の気持ち、もううたがわないから、私に言った言葉をうそにしないでね。



