監獄学園にやってきたクズな大罪人は、男ぎらいな次席看守さまを落としたい。

 キスでだまらせるように、力をうばうように、何回も、何回も…。

 もうだまされたくないのに、体温が上がってきて、本当に泣きたくなる。




「っ、こんな、ことでごまかそうなんて…っ。も、だまされないからぁっ」


「…泣くなよ。だましてなんかねぇから」


「うそつきっ、私のことだって利用する気なんでしょっ!」


「景依を利用なんてしない。景依のために周りを利用することはあってもな」




 頬を次々ぬらしていく涙を、雷牙がキスで(ぬぐ)っていく。

 顔中に降る温もりがやさしいから、ますます心がゆれて、たかぶる感情が涙に変わっていった。




「なんで…っ」


「景依との関係を守るために、俺にできることをした。浮気なんてしてないし、俺は本気で景依が好きだ」


「守る、ために…?」




 ゆらゆらゆれる視界のなかで、オレンジ色の瞳がまっすぐに私を見つめる。