「…正式に付き合ってるんですか?」


「うん」


「あいつ、藤枝(ふじえだ)先輩という彼女がいるぶんざいで…」 




 だまっているだけじゃなく、味方になってくれるらしい真波(まなみ)に、雷牙(らいが)と付き合っていることをはなすと、彼女は、ぐっ、と無表情でこぶしを握る。

 私も雷牙にはいろいろ問い詰めたい。

 真波にバレたから、もう私からは手を引くつもりなの?


 信じてたのに、やっぱり“好き”っていうのはうそだったの?




「やっぱりシメましょう。浮気は許すまじ、です」


「うん…あ、それちょうばつ房に持っていく食事ですか?私が持っていきます」





 昼食の準備中、1人ぶんの質素な食事をトレーに乗せて持っていこうとする男を見かけて、声をかけた。




「え?いや、108番のところには男が行くようにって…」


「いいからよこしなさい」