びっくりしすぎて、かんたんな言葉しか出てこない。

 鳩野さんはうなずいて、また口を開く。




「藤枝先輩は108番が好きなんですね?」


「っ、…うん。好きだよ」




 覚悟を決めて、まっすぐ鳩野さんの目を見ながら答えると、おかっぱ頭がぺこりと下げられた。




「えっ…?」


「恋する気持ち、わかります。藤枝先輩と108番のことはだれにも言いません。安全に密会できるように自分も協力します」


「ほ、ほんとに?」


「はい」


「…あ、ありがとうっ、鳩野さん!」




 見逃してくれるんだ!

 ほっとして鳩野さんの手を両手で掴むと、彼女は顔を上げて目を細める。




真波(まなみ)でいいです。いままでどおり、呼び捨てで」


「わかった、ありがとう、真波!」