監獄学園にやってきたクズな大罪人は、男ぎらいな次席看守さまを落としたい。

〈そ、そうか。でも、いいのか?真波はどう思ってるんだ?〉


「私は…」




 藤枝(ふじえだ)先輩は、2年特進クラスの紅一点で、それなのに2年の首席で、副会長も務めている、自分のあこがれのひと。

 自分が目指したいと思ったひと。


 あれを見たときは、“ひとをたらしこむ天才”らしい108番に、藤枝先輩もたらしこまれてしまったのかと、失望したんだけど。




「…藤枝先輩があの男に恋をしてるなら、見逃してあげてもいいと思ってる」




 だって、恋は盲目だもの。

 私がお兄ちゃんを想っているのとおなじように、藤枝先輩が108番を想っているなら、仲間としてすべての行為に目をつむる。




〈そっか。それじゃあ、心は決まったんだな〉


「うん。ありがとう、お兄ちゃん」


〈どういたしまして。それにしても、真波も大変だなぁ。ゆっくり寝て疲れを取るんだぞ〉