「失望しました。受刑者なんかにたらしこまれるなんて…」


「っ…」


「“失望”?おまえが景依のなにを知ってる。藤枝先輩藤枝先輩って、偶像化でもしてるんじゃねぇの?」


「雷牙、やめて。…鳩野」


「この件は報告させてもらいます。藤枝先輩は“次席”にふさわしくないようなので」




 背を向けて歩いていく鳩野さんを見て、私は雷牙の腕のなかから抜け出し、鳩野さんに駆け寄る。

 細い腕を掴むと、「なんですか、離してください」と抵抗する鳩野さんを、自分でもどこから湧いたのかわからない強い力で、ちょうばつ房へとひっぱっていった。