「…自分の見まちがいじゃなければ。いま、キスしてましたよね」


「っ」


「見まちがいじゃねぇの?まぁ、これくらいかわいい看守さまならキスもできるけど。なぁ景依、してみるか?」


「な…」




 なにを言ってるの。

 どんな度胸してるの、雷牙は!




「…やっぱり。おかしいと思ったんです。あの藤枝先輩が1人の受刑者をひいきするなんて…108番に弱みでも握られたんですか?」


「え、」


「いいえ、藤枝先輩に“弱み”なんてあるわけないですよね。じゃあ、108番にたらしこまれたんですか」


「…」




 答えられずに目をそらすと、「はぁ」とため息が聞こえた。