監獄学園にやってきたクズな大罪人は、男ぎらいな次席看守さまを落としたい。

「寒いからと言って、雪かきが中止になることはありません。さっさと体を動かしなさい、多少はましになりますよ」


「俺じゃなくて、棒立ちしてる景依が寒いだろってはなし。顔も耳も赤くなってるし」




 眉を下げて笑いながらそう言われて、ドキッとする。

 私はジャンパーのえりに口元を埋めてかくしながら、「大丈夫です」と答えた。

 そんなことでいちいち呼び出したりなんて、しなくていいのに…。




「抱きしめてやりたいけど、こんなに人目があっちゃむりだもんな。仮病使ってなか入るか?」


「ダメです、まじめにやってください。…私は本当に大丈夫だから」


「じゃ、手ぇ出せ。体のまえなら他のやつには見えない」




 シャベルをわきにかかえて、雷牙は軍手を外す。

 言われるまま、おずおずと冷え切った手を差し出すと、雷牙に両手で包まれた。

 あったかい…。