彼は最後、私に向けてそう言った。
私の秘密…思い当たるのは雷牙への気持ち、かな。
これは私の予想だけど、雷牙のことが好きな2年女子がいるっていうあのうわさは、林郷先輩が流したものじゃないかと思ってる。
きっと、私が恋心を自覚したあのときに、林郷先輩も気づいていたんだ。
他の人にはバレないように、今後はちゃんと感情を制御しなきゃ。
「これで集団脱獄は解決だな。それに一役買った人物をあげるなら藤枝以外にはいない」
「!」
顔を上げて財前先輩を見ると、その口元にほほえみが浮かんだ。
「やはり、俺の嫁には藤枝がふさわしいようだ」
私を見つめる財前先輩の目を、差し出された手を見て、眉を下げる。
評価してもらえるのはうれしいけど…。
「財前先輩、その件ですが」
「なんだ?」