おまえを1人、置いていくわけないだろ。




『ばか、ゆーな…逃げろ…うっ』


『テツ!?おい、しっかりしろ!…くそっ』




 俺は死体の海に駆け寄って、やつらの服をありったけ剥ぎとった。

 それらをテツのもとに持ち帰って、必死に止血する。

 その過程で俺も血まみれになったが、そんなのは気にしてられなかった。




『ライ…』


『んだよ、だまってろ!』




 どんどん呼吸音が弱くなっていってるテツが、俺の服を掴む。

 目も開けないまま、テツは口をうごかした。




『にげ、ろ…』




 それが、最後に絞り出した一言だったかのように。

 テツの腕が落ちて、それ以上しゃべらなくなる。




『…テツ…?』