ある種の覚悟をしながら、ためしに首にふれてみると…脈は感じなかった。




『…全員、死んでんのか?』


『おせーぞ、ばか…』




 そのとき、うしろから弱々しくテツの声がする。

 ふり返ると、テツは1人はぐれたところで、やっぱり血を流しながらたおれていた。

 急いで駆け寄ると、テツは頬をぴくぴくとうごかして…ぎこちなく笑みを浮かべる。




『わりぃ…逃げろ』


『はぁ?逃げねぇよ。なに言ってんだバカ。…なにがあった?』


『見りゃ、わかるだろ…あいつら、呼び出して…』


『なんで死体の海ができてんだよ』




 殴り合いのケンカはしても、俺たちは殺し合いなんざしてなかっただろうが。

 眉根を寄せると、テツはあさい呼吸をしながらわき腹を押さえた。

 よく見りゃあ、テツの体のよこには血まみれのナイフが転がってる。