面倒なことに巻きこまれるのは承知で。




『…ん?このにおい…』




 嗅いだ覚えがあるような、雪山には似つかないにおいにつられて、足を進める。

 そして俺は、白い世界と一転した“赤”を見た。




『なっ…!』




 駐車場なんだろう。

 雪かきをされて、灰色の地面が顔を出しているその開けた場所には、見覚えのあるやつらがたくさんたおれていた。


 右を見ると、血だまりが広がっている。

 左を見ても、血だまりが広がっていた。

 正面だって、地面は血におおわれている。



 …なんだ、これ…。

 なにが起こったのか理解しようと、俺はたおれてるやつらに近づいた。




『おい、生きてるか?』




 しゃがんで1人の肩をゆらす。

 でも反応はない。

 この駐車場をおおっている血の量を見れば、“生きてない”可能性だってたかい。