大門(だいもん)雷牙(らいが)視点―




『おい、聞いてんのか?』


『んぁ?なんだ、テツ?』


『明日の18時!ぜったい山に来いよ。ビッグなことするから!』


『あぁ、まえからこそこそたくらんでたやつか?はいはい、明日の18時な』




 昨日、笑ってはなしを聞き、今日の朝もメッセージで[ぜったい来いよ!]と釘を刺されてたってのに。

 藤枝(ふじえだ)景依(けい)…あいつとはなすのがおもしろくて、ついつい約束におくれちまった。

 適当にタクシーを拾って指定された山に来ると、俺は雪道についたバイクのタイヤ痕をたどって、テツを探した。




『おーい、テツー?おくれてわりー』




 1週間くらいまえから、テツは1人でなにかをたくらんで、こそこそしていた。

 脳筋バカのやることだから、ちょっとさぐりを入れればなにをたくらんでるかはわかっただろうが、それじゃあおもしろくない。

 だから俺は、いままで自由にさせて、テツが種明かしをしてくるときをただ待っていた。