男は最後まで性格わるく、にこにこしながら倉庫を出ていった。
その翌日、自白剤が抜けた私は、むかつく男に会うこともなく、家に帰されたんだ。
本当に、もう二度とあの男に会いたくないと思うほど、最悪な時間だった。
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「思い、出した…あのときの、むかつく男…!」
きっ、と顔を上げると、雷牙は私を抱きしめたまま苦笑いする。
「わるかったって。景依があまりにもおもしれぇから、ついついからかいすぎて…」
「あの日のこと、許してないから!」
怒りをぶつけてから、あれ、でも待って、と考えこんだ。
雷牙が起こした事件は、お正月から報道されていた。
なぜなら、あの事件は去年の年末に起こったから。



