にやり、と笑いながら男は聞いてくる。




『はぁっ?男を好きになるわけないじゃん!誠実で、人にたよらなくて、婦女子を守るひと』


『へぇ~?理想はあるじゃねぇか』


『ちがうっ、これは兎杏(とあ)がどうしても考えてって言うから…!』




 かぁっと赤面して弁解すると、男はにやにやしながら『乙女だねぇ』なんて冷やかしてきた。

 なんで初対面の男、しかも赤城会の人間なんかにこんなはずかしいこと知られなきゃいけないのっ!




『兎杏ってのはダチか?』


『そう、ルームメイト。なんで好きなタイプなんか聞くの!』


『そりゃあ、ほら。おまえ男ぎらいなんだろ?せっかく薬効いてんだし、どうせならふだんはぜったい言わねぇこと言わせてぇじゃん』


『いやがらせ!?』


『ひと聞きがわりぃな。俺はいまこの状況を最大限に楽しんでるだけだ』


『性格わるっ!このクズ男!』