監獄学園にやってきたクズな大罪人は、男ぎらいな次席看守さまを落としたい。

 左を向いても、血だまりが広がっていた。

 合わせて何人がたおれてたっけな。


 正面だって、地面は血におおわれていた。

 全員殺してやったなんて、惚れ惚れするだろ?




『――――、――……』




 そう、あいつの声を聞いて俺はふり返った。

 血まみれで、いまにも死にそうなつらをした相棒は、何度も笑おうとして、3回目でちゃんと口角を上げきったんだ。




『わりぃ…逃げろ』




 逃げようなんて言うのは、いつも俺の役割だったろ。

 おまえはバカみたいに、いつも力技でなんとかしようとしてさ。

 猪突猛進(ちょとつもうしん)の脳筋が“撤退”を覚えたら、俺は正面衝突するしかなくねぇ?


 …なんてな。




『――――――…―――――――――――』


『逃げねぇよ、相棒』




 そうさ…。

 俺は逃げねぇ。

 “仲間を置いて逃げる”っていう選択肢なんざない。