ドキッとした胸を押さえながら、気になった言葉を拾う。

 おそるおそる雷牙を見ると、雷牙は目元をやわらげてやさしく笑い、私の頬にふれた。

 今度は、払い落とそうっていう気が起きない。




「俺をその気にさせたのはおまえだぜ、景依?…好きだ」


「っ…でも、私になにも言わずに、逃げたじゃん…!」


「…大事な証拠は景依が持ってる。でも、それひとつじゃ有罪をひっくり返せねぇからさ。家の力が必要だったんだ」




 親指で頬をなでながら、「脱獄の共犯なんて汚れ役、景依にさせらんねぇだろ?」という雷牙に、鼓動がとくとくと反応し始めた。


 私が、大事な証拠を持ってる…?




「どういうこと…?私が雷牙に初めて会ったのは、雷牙が監獄学園に来たときだよ?」