新しい我が家は、まぁまぁの居心地だな。

 墓場として、文句はない。




『援助を断るというなら――』




 じいさんのしかめっつらが脳裏によぎる。

 身内から逮捕者を出したくなかったんだろう。

 よけいな手助けをしようとしてくるのが、うっとうしかった。


 ながながとはなすのは年寄りだからかねぇ?




『――いいな』


『はいはい、やりますよ』




 その場では笑ってじいさんの指令を受けたな。

 ただでは転ばない主義ってやつ?

 さすが日本一をしょってるだけのことはある。


 でも…。

 わるいな、じいさん。

 俺はここで一生を終えてもいいんだ。




「生きたいなんざ、思ってない…あの日からな」




 ――右を向くと、血だまりが広がっていた。

 まばらにたおれた野郎どもは、愛すべき長年のケンカ相手だ。