財前先輩が全員のまえに立ってするどく目を細めると、ごくりとだれかが…ううん、だれもがつばを飲んだ。
自分たちのなかに裏切者が、とその視線をうごかしてたがいの動揺を見抜こうとする。
「協力者、か…藤枝は心当たりない?108番とはけっこう仲がよかっただろう?彼に協力していそうなひととか…」
「っ、え」
林郷先輩にはなしをふられて、とっさに返事ができずにそんな声がもれた。
すると、ひそひそとした声が聞こえてくる。
「…そういえば、副会長ってよく108番に絡まれてたよな…」
「…副会長が言ったことなら大人しく従ったりもしたし…」
「…副会長が協力者ならこの集団脱獄も可能なんじゃ…」
「…っていうか、108番のことが好きな2年って副会長のことじゃないの?…」