監獄学園にやってきたクズな大罪人は、男ぎらいな次席看守さまを落としたい。

「…はい。でも、すみません。俺たち居残り組は、本当にキングがみんなと脱獄を考えていたことしか知らなくて…」




 まばたきをしたときにぽろぽろっと落ちた涙を手の甲でぬぐって、私はきっ、と顔を上げる。

 でも、90番からも、他の受刑者からも…90番が言ったとおり、たいした情報は出てこなかった。




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「今回の集団脱獄には、綿密な計画性がうかがえる。Verbrechen(フェアブレッヒェン)が知りえる情報だけでは、ここまで計画を練り上げることはできない」




 脱獄した受刑者をだれ1人捕獲することができないまま、夜が訪れた。

 サポート刑務官や先生方に看守を任せて、会議室に引き上げた私たちGebot(ゲボート)生は、今回の件についてはなしをする。




「よって、我々Gebot(ゲボート)のなかに“協力者”がいる可能性がたかい。皆、心当たりはないか」