「わかりました。俺たちは…」


「所内に残ったVerbrechen(フェアブレッヒェン)を監視、そして今回の計画への関与を聞いてください」


「…はい!」





 手をぎゅっと握りながら返事をした。


 雷牙…本当なの…?


 夏休み中の、他のGebot(ゲボート)生にも緊急招集をかけている、と聞いたあと、私と財前先輩はすぐ雑居房エリアに向かった。

 まばらにしかひとがいない房を見て、本当に何人も脱獄したんだ、と実感が湧いてくる。

 そして、問題の…雷牙が入っていた雑居房を見ると、なかにいたのは1人だけ。


 72番もいない…。




「…90番、あなたは知っていたんですか」


「先生…すみません」




 めずらしく自分の罪を反省して、刑務官の言うことをよく聞き、よくはたらいていた90番は、視線を落としてただあやまる。

 それが肯定の返事だとわかって、私は雑居房のカギを開け、90番に詰め寄った。