「教室棟にいるということは、あなたたちは今日授業日なのでしょう。没収してからすくなくとも1日は経っていることになります」
「Verbrechenから没収した禁制品は、すぐ教員へ届け出ること。これはGebotに課せられた規則だ」
「それを犯した時点で、あなたたちは処罰の対象です。刑務官をこころざす者にはすこしの違反行為も許されません」
ここまで言ってようやく、2人は観念したように肩を落とした。
「生徒手帳を提出して寮へ帰るように」
「「はい…」」
財前先輩は2人から生徒手帳をあずかって、3階の教室へ向かう2人を見送る。
「藤枝。それも俺が先生方に届け出ておく」
「はい。よろしくお願いします」
差し出された手に、くしゃくしゃになったたばこを置いて、財前先輩を見送った。
先輩の背中が見えなくなると、私も3階に上がって特進クラスの教室へ向かう。
教室に着いたときと、予鈴が鳴ったときはおなじタイミングで、すぐに5席のうち、教壇まえの1席に着いた。