やさしく背中をなでられて、うるっとくる。

 私はがばっと、兎杏に抱きついた。




『好きだ、景依』


『本気で愛してる』


『財前なんかにはやらない、俺に落ちろ』




 何回もキスしながら、耳に注ぎこまれた熱い声が頭から離れない。

 私の心にふかく想いを刻みこもうとした雷牙を、私は止めることができなくて…。

 ずっと、くらくらする熱におぼれていた。




「兎杏…どうしよう…っ」




 助けを求める声は、涙まじり。

 兎杏は私をぎゅっと抱きしめた。




「景依ちゃん、ずっと会長のこと尊敬してたでしょ…?受刑者と看守が、なんて禁断だし…1人しか、いないんじゃない?」