「先にもどっていてください。私はすこし見回りをしてからもどります」




 私はBクラスのひとたちにそう言って、頭を冷やしてくることにした。

 一箇所にひとが集まるこの時間、1人になれる場所はたくさんあるから、こつこつと足音を鳴らして適当に歩く。




「はぁ~…ほんと、どうしよう…」




 しん、とした廊下で独り言をもらすと、「なにがだ?」と声が返ってきた。




雷牙(らいが)!?」


「相談なら乗ってやるぜ?」




 ふり返った先にいたのは、腕を組んで、眉根を寄せながら口角を上げている雷牙。

 さっきまではちゃんと食堂にいたのに…どうやって財前先輩がいるなかで抜け出したの!?




「なんでまた脱走してるの!」


「さっき、妙なもんを見たからくわしく聞きに…だな。今回はちゃんと看守付きで出てきたさ、とちゅうで()いてきたが」


「なっ…!」