それでも、あいつがいるせいで、僕はずっと“次席”だった。




「俺は文字どおり、“法務大臣の息子”としてこの学園に入った」




 聞こえてきた内容に、気分がわるくなる。

 たまたま、財前と同学年だった。

 たったそれだけのことで、学園中の注目が財前にうばわれたんだ。


 法務大臣のやることに文句を言うつもりはない。

 でも、どうして僕がいる年だったんだ、とくやしくなる。

 財前さえいなければ、この学年の首席は僕だった。


 僕が正当に受けるはずだった評価は、いつも財前と比べられるせいで“どこか物足りない”とマイナスになってばかり。

 それに…。




「えっ、いえ!不満というわけでは…!」




 腹の奥でくすぶっている怒りにのまれて、すこしのあいだはなしを聞き逃したみたいだ。

 藤枝の声で意識がもどって、ふたたび耳を澄ませると。