財前先輩の手が伸びて、私の肩にふれる。

 ぐい、と軽く押された体はあっけなくうしろにたおれて。

 後頭部へ移った財前先輩の手に支えられながら、私の体はデスクの上によこたわった。




「えっ…?」




 とん、と体のよこに財前先輩の左手が置かれる。




「藤枝。俺の嫁になれ」




 じぃ、と紫色の瞳に見つめられて、じわじわと熱がこみあげてきた。


 えっ、えっ、えっ…!


 私はかぁっと赤面しながら、とっさに財前先輩の胸を押し返して、デスクの上から抜け出す。




「かっ、考えさせてくださいっ!!」




 そう言い捨てて、私は全力で生徒会室から逃走した。


 あの!財前先輩に!プロポーズ!!

 わぁ~っ、私にはキャパオーバーだよ!

 はやく!兎杏(とあ)に会って忘れようっ!