「…!そう、だったんですか…」


「俺が父から命じられたことは2つ。1つは、この学園に入学すること。もう1つは、嫁を探すこと」


「え」




 本当にはなしがつながった…!

 っていうか、え…?

 父親の命令なの?




「この学園でゆうしゅうな成績を収めた、“財前”にふさわしい女生徒。俺は、それが藤枝だと見こんだ。以上だ」


「は、はあ…ありがとうございます…」




 よくわからないけど、財前先輩にほめられてるのはうれしいな。

 …ううん、待って、私。

 これ、よろこんでいいはなしなの…!?




「…これじゃ不満か?なら、手順を踏もう」


「えっ、いえ!不満というわけでは…!」




 とっさに否定しつつ、立ち上がってこっちに回ってくる財前先輩の姿を目で追う。

 歩くたびにゆれる白銀の髪は、この暑さをもやわらげる冷気をまとっているようだけど。

 一歩一歩近づいてくる財前先輩には、ごくりときんちょうがこみあげてきた。