こつ、と足音を鳴らして段ボール箱の山に近づくと、「ふー…ふー…」というような、変な音が聞こえてきた。
…まさか、段ボール箱の陰にかくれてる?
私はバッと、いちばん上に積まれている段ボール箱を取った。
すると。
「うっ…!」
なかの空洞から、汗をにじませ、血走った目をしたメガネの男を見つける。
段ボール箱の山のなかで、体をちいさくして口をふさいでいたみたいだけど…これで捉えた!
「見つけましたよ、103番!観念しなさい!」
「うわぁぁぁあっ!」
「!」
103番はガラガラと段ボール箱の山をくずしながら、立ち上がって私におそいかかってきた。
そんな直情的に向かってきたって、やられるもんか…!
首に伸びてくる両手を逆に掴んで、背負い投げをしようと身がまえると、とつぜんうしろから抱き寄せられてバランスをくずす。