あれから一度も来ていないこの倉庫。

 またクモがいたらどうしよう、と扉のまえでかっとうする時間は短かった。


 仕事優先、がんばれ私!

 ガチャ、とドアノブを回して倉庫のなかに入ると、相変わらずのうす暗さに迎えられる。




「103番、ここにいるのはわかっています。大人しく出てきなさい!」




 先手必勝、と強気におどしながら、倉庫のなかを見回した。

 パッと見、ひとはいない…けど。

 ささいな手がかりも見落とさないように、息をひそめて慎重に歩く。


 右側、ひとがかくれられそうなところは…なし。

 左側、棚のうしろには…だれもいない。

 正面、段ボール箱が積み上げられている…うん?


 ここの段ボール箱って、こんなにたかく積まれてたっけ。




「…」