唇を隠して,それでも君に恋したい。



「ほら,もういいでしょ。離れて」

「えーーっ。まだ2分も経ってないのに」



そうだった。

もう放課後だ。

僕も帰ろう。

そう立ち上がりかけて。

僕はどんくさくも,自分のバックに足を引っ掻けて躓いた。

しかもバックのせいで踏みとどまれるような面積もなく,そのままついに倒れそうになる。

けれど,その僕の身体を強く後ろから支えた存在がいた。

お腹に回った腕が,少し苦しい。

仕方なく,洗濯されたタオルみたいにぐでんとなった僕はほっと目蓋を下ろす。



「ごめん。ありがとう和寧」



もっと,腹筋鍛えなきゃな。

これくらいで転ぶようじゃ全然だめだ。

またこうして他人に迷惑をかけてしまう。

よいしょと体勢を立て直して和寧を見ると,驚いたような顔の額にはうっすらと汗が流れていた。

悪いやつじゃ,無いんだよな。

僕はお腹から離れない腕をとんとんとつついて,もう大丈夫だと伝える。