唇を隠して,それでも君に恋したい。


「えまじくれんの?」

「わざわざ嫌がってる潔癖の伊織から貰うこと無いだろ」

「そろそろ嫌われるぞ,三太」




庇われたのだと分かる。

スズは空気を読んで和ませるために,からかうような口調で宥めていた。



「え。……ごめん伊織」

「いいよ。僕もごめんね。別に三太を汚いと思ってるわけじゃないから」



僕は言いながらリューを見る。

思えばこんなことが今までも何度もあったような気がする。

三太が絶望的に空気を読めないだけだと思っていたけど……

僕が気づいていないだけで,きっと沢山助け続けてきてくれたんだろう。

そう思うと,何故か唇を噛み締めたくて仕方なくなった。



「伊織」



ドックンと心臓が震える。

顔を上げると,敦が自分の頬をつんつんとつついていた。