唇を隠して,それでも君に恋したい。




「百合川姫の役割は,俺じゃだめだったのか?」



僕は目をそらす。

当然だ。

僕は僕にとっての2人の価値を天秤にかけて,ヒメを選んだわけじゃない。



「当たり前だろ。君たちの友情まで,僕が壊すわけにはいかない。関わらないのが1番だ」



はっきりと告げた僕に,2人は黙った。



「……じゃあ俺とお前の……皆との友情は」



また,揺らぐ。

全部わかっていてこうしてるはずなのに,いちいち刺さってしまう。



「ひ,必要最低限のぎせ」

「待った」



はっと息を呑む。

僕は何を……

僕はもうどんな表情をしているのかも分からない顔で,僕を止めた和寧をみた。

てしてしと歩み寄ってくる和寧。

思わず怯えるように首をすくめると,和音はぺしっと僕をはたいた。



「な,なにを」



するんだとは言えない状況なのは100も承知。

僕はまだ首をすくめたまま叩かれた患部を抑えて和音をみた。

その呆れたような哀れむような顔に,僕はまた口をつむぐ。