唇を隠して,それでも君に恋したい。



「え?」



恥ずかしいけど。

敦の言葉は,どれも同意するものだった。

つまり,これは



「だ……抱きしめるんだろ……ふてぁ……りの,とき」



最悪だ。

ハチャメチャに噛んだ。

赤くなる頬に,それでも唇を噛んで待っていると。

ぎゅっと暖かい体温に包まれた。

ぽす,と顎が頭に置かれる。

僕は恐る恐る,その背中に手を回した。

ドキドキと,僕の鼓動が聞こえる。

ふと,敦が吹き出した。



「は。……やべー」



その,子猫でも愛でるような声色に。

僕はその腕を強める他無い。

ちょっとハグするだけなのに,そんな幸せそうな声,出すなよ……

とんと胸板を押す。

これ以上は僕のほうがどうにかなってしまいそうだ。



「おしまい。帰るぞ」

「ん」



夜風に吹かれる頬は,いつまでも,いつまでも。

ずっと赤いままだった。