唇を隠して,それでも君に恋したい。


僕はふりふりと顔をふる。

僕は,敦の優しさを信じてる。

誠実さを信じてる。

大好きな敦の,僕への言葉を信じてる。

気持ちも,少しずつ信じていきたい。

でも……

そのどれもが,リューのいう信じるとは違うんだと感じた。

右手で左手を擦る。

それは気まずいときの僕のくせだ。



「ごめんね」



様々な意味を込めた言葉は。

その全てが無意味になるほど,薄情な音をしていた。

僕はたぶん,今日で,心の中にいたリューを永遠に失うのだと思う。

それはリューが,僕に,恋心を抱いたから?

僕がそれを受け入れなかったから?

僕の正体を知っていると知ったから?

それとも,僕が他の人を選んでしまったから?

他にも浮かぶ事柄は沢山あって。

きっと,その全部は正しいのだろう。

あの事故チューの日から,少しずつ会話や接触が減ったみたいに。

何もかも知らなかった時とは全く別の……

元通りではない別の形を目指して,僕らはまた新しく始まるのだと。

君の無言の返事に,感じた。