イグナーツは紺碧の瞳を愛おしそうに細めた。視線が絡め取られる。身動きできずにいると、彼はすっと立ち上がり、ルーリエとの距離を詰めた。
反射的に逃げそうになったが、足にグッと力を入れて立ち止まる。だがその葛藤すら見透かしたように、イグナーツがルーリエの耳元で甘く囁く。
「どうか私だけを見て。他の男は見ないで」
見られるわけがない。
そんなこと、彼が一番わかっているだろうに。なんて人が悪い。ときめきで危うく呼吸困難になるところだったではないか。
ルーリエは耳まで真っ赤に染め上げたまま、純白のレースの扇を広げて小声で答えるのがやっとだった。
「こ、こういった経験は少なくて……どうか、お手柔らかにお願いいたしますわ」
「かしこまりました。善処しましょう」
反射的に逃げそうになったが、足にグッと力を入れて立ち止まる。だがその葛藤すら見透かしたように、イグナーツがルーリエの耳元で甘く囁く。
「どうか私だけを見て。他の男は見ないで」
見られるわけがない。
そんなこと、彼が一番わかっているだろうに。なんて人が悪い。ときめきで危うく呼吸困難になるところだったではないか。
ルーリエは耳まで真っ赤に染め上げたまま、純白のレースの扇を広げて小声で答えるのがやっとだった。
「こ、こういった経験は少なくて……どうか、お手柔らかにお願いいたしますわ」
「かしこまりました。善処しましょう」



