冤罪から死に戻った悪女は魔法伯の花嫁に望まれる

「ふん、白々しい。散々ヘレンの悪口を言い、誰もいないところで彼女を害してきたというではないか。人目がないところで嫌がらせを繰り返すなど、貴族の風上にも置けん」
「おかしいですわね。わたくしは他の方がいる前でしか、ヘレン様と会話したことはありません。それに話した内容だって、社交界で生き抜くマナーを優しく諭しただけですわ。彼女は養女となってまだ浅い。貴族の一般常識が欠けていらっしゃるようでしたので」

 わざと煽るように言うと、案の定ヨハニスは激高した。

「お前のせいでヘレンは、社交界で肩身の狭いを思いをしていたのだぞ! しかも日常的な嫌がらせに飽き足らず、彼女を殺そうとした! 未遂とはいえ、殺人は重罪だ。未来の王妃を手にかけた罪を死んで償うがいい」
「……証拠はあるのですか? わたくしがやったという証拠が」