冤罪から死に戻った悪女は魔法伯の花嫁に望まれる

「その悪女という噂も事実無根なのでしょう? ならば何も問題はありません。私は自分の直感を信じます。今までは恋愛や異性にまったく興味が持てませんでしたが、ルーリエ嬢と出会って新しい感情を知ることができた。恋をするならあなたがいい」

 出会ってすぐに好きや愛していると言われたら信用できないが、この言葉は信じられると思った。何より素直な言葉は胸に響いた。
 息が詰まって返事ができないでいると、イグナーツが凜とした声でたたみかける。

「どうぞお任せください。あなたのことは私が守ります。冤罪という卑劣な真似をしたことを後悔させてやりましょう」
「……わかりました。では冤罪からの死を回避できたとき、わたくしをあなたの妻に」
「契約成立ですね。ルーリエ嬢を当家の花嫁として迎えられる日が待ち遠しいです」